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18話直前考察「あなたの番です」石崎洋子と尾野幹葉が果たす役割は? 最終話ラストシーンを大胆推理

“内山が手をくだしたのがほぼ確実なのは、甲野貴文、神谷将人、黒島沙和の3件しかない。しかも、その3件は、「口角上げ」ではないのだ。”

 神谷将人(浅香航大)は「口角上げ」だった。間違えた。ごめんなさい。

 内山が「口角上げ殺人」の犯人ではないというアイデアを軸に考えていたので、うっかり書いてしまった。

 (コメント欄の指摘や大胆な予想、推理合戦、読んでいます。黒島沙和が穂香というのも年齢的に無理がありましたね。ありがとうございます)

石崎洋子と尾野幹葉は何を見るのか?
 こういった「自分の考えに固執するために見る目がくもってしまう」という現象は、本作「あなたの番です」のテーマのひとつだろう。

 交換殺人が起きているに違いないと錯覚して、人を殺してしまう。

 恐怖のために、誰でも彼でも犯人扱いしてしまう。

 人のミスや気に食わない言動に声を荒げて非難してしまう。

 といったことが、この事件を混乱させている。

 だからこそ、石崎洋子(三倉佳奈:104号室)は、ここから先、何かトンデモナイことを引き起こすだろう。尾野幹葉(奈緒:301号室)の思い込みは暴走してトンデモナイことになるだろう。

 こういったことが、住民同士で増幅され「マンション内の同調圧力」になり、多くの人を間違った判断に陥れ、見えもしない真相を見てしまう。

 同じ罠に陥ってミスってしまった。

事件の鍵は?
 この連載「あなたの番です各話レビュー」は、第1話から考察を行っている。

 検索「あなたの番です 考察」で影響力のあるニュースを調べると、この連載がずらずらと出てくるそうだ。ありがたい。

 そして、第2話直後考察で、この事件のカギは「マンション内の同調圧力」であると推理し、ずっとその線で考察している。

床島の死は何だったのか?
 だから、床島比呂志(竹中直人:元管理人)の死は、殺人でもなく、自殺でもなく、事故死だ、と。

 “誰かが仕組んだという展開にするよりも「事故死で犯人などいなかったのに、マンション内の同調圧力のせいで連続殺人が巻き起こる」という皮肉な展開になるべきなのだ。”

 床島が、アンテナを修理しようと屋上にあがって、すべり落ちてしまいアンテナの線にからまって宙吊りになっていただけなのではないか、という推理だ。

誰によって語られるのか?
 実は、この推理、ひとつ大きな欠点があった。

 床島比呂志(竹中直人:管理人)の死が、単なる事故死だとすると、それはどうやって判明するのか。

 もはや、床島の死からこれだけの日数がたつと、警察の現場検証などで事故死を確定する物的証拠が出てくるとは思えない。

 事故死を見ていた者がいたとも思えない。床島本人は死んでいる。

 床島が事故死であれば、誰もそのことを語る人物がいないのだ。

 正直なところ、ドラマ展開的には致命的な欠点であり、この推理は間違っているのかもとも思っていた。

5年前の高知の事件の語られ方
 だが、17話のあるシーンを見て、「あ、こういう展開ならありえる」と気づいた。

 南雅和(田中哲司:502号室)が、高知でのことを回想するシーンだ。ヘルメットをかぶった田宮淳一郎(生瀬勝久:103号室)らしき男が、高知で南と穂香(南の娘?)と出会っている。5年前に高知で少女殺害事件が起こっていることが、ここになって明らかになる。

 これだけ重要なシーンを、誰かの推理で問い詰めて語るわけでもなく、本人が思い出したことで映像として観せてしまった。

 そして、思い出した南は、包丁で脅して「あんた人を殺したよね」と田宮に詰め寄る。

 正直なところ、これはパズル的な推理考察をさせる物語としては、ちょっと「ええ!?」という展開だ。

 探偵役の誰かが推理考察し、問い詰めて、解き明かされるのではなく、本人が思い出すだけで重要な過去のシーンが登場することになったわけだから。

 理詰めで推理して解決する物語ではないということを、「あなたの番です」は、いくつかの展開や演出や小道具で示している。

 たとえば、データを入力すると、パーセンテージで怪しい人物を見定めるAIの登場。

 後半になって登場した内山くんがいくつかの事件の犯人という展開(そもそも昔からのストーカーなら、どうしてちょくちょく出しておかなかったんだろう?)。

 多くの登場人物の行動原理が突拍子もないもので、何だって引き起こしかねない。

 これまで犯人が判明したのも、誰かが推理してつきとめたわけではない。

 そういったことを考えると、「あなたの番です」の最大の醍醐味は、理詰めの推理ではなく、「事件をきっかけに人々の奇々怪々な正体が浮き彫りになって、次は何をやらかすのか」という興味だろう。

最終話ラストシーンを予想
 というわけで、最終話のラストシーンを予想をする。

 最終話、すべての犯人が明かされる。が、黒幕や陰謀などなく、それぞれの犯罪はそれぞれの思惑が絡み合って、単独犯といってもいいようなものだったことが判明する。

 そして、第1話の最初に物語の外のストーリーテラーとして登場した竹中直人が、ラスト再登場する。

 「すべての真相が判明したように思ってるかもしれないが、誰か重要な人物のことを忘れちゃいませんか」などと語り始める。

 「そう、この事件の発端、最初に死んだあの人のことですよ」と、竹中直人が床島比呂志の死について語り出すのだ。

 「自殺? いえいえ。殺された? いえいえ」とか言って、床島の映像が出てくる。

 屋上に出てアンテナをなおす床島、ただただ足をすべらせて落ちてしまう床島、気を失って宙吊りになる床島。